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旅先のお風呂といえば、宿で済ませてしまう人が大半のはず。でも、旅先にある銭湯でその土地の雰囲気を味わうのもいいものです。最近は20代の若者達にも人気がある銭湯ですが、以前より利用者は減りつつあります。そんな中、京都を中心に銭湯の維持保存に力を注ぐのが「ゆとなみ社」。古き良き雰囲気はそのままに、新たな魅力が加わり復活した銭湯へ、旅の途中にぜひ。
*写真提供:ゆとなみ社
消えゆく銭湯を守るために立ち上げた「ゆとなみ社」
今回紹介する5つの銭湯は、一度は廃業を決意したり、実際に閉鎖してしまったお風呂屋さんばかり。そんな銭湯を復活させるために、オーナーに掛け合い経営を受け継いだのが、「銭湯を日本から消さない」をモットーに活動している「ゆとなみ社」。この7年間で実に7軒の銭湯を復活させ、現在5軒を自ら経営しています。
サウナも「入浴料にコミ」の京都の老舗 〜サウナの梅湯(京都府京都市)〜
「ゆとなみ社」の代表が学生時代に通っていたという「サウナの梅湯」。場所は京阪本線清水五条駅からは徒歩6分という近さ。高瀬川や鴨川が近くにあり、京都らしい風景が広がるまさにレトロな雰囲気満載の場所です。外観は大きなネオンや2階の欄干が特徴的。

番台の周りには、「ゆとなみ社」が2015年「梅湯」を引き継いでから販売を開始したというTシャツ(写真)やタオルなどの梅湯オリジナルグッズや、レンタル・購入できるアメニティなどが所狭しと置かれていて賑やか。
お風呂も、水風呂や電気風呂、薬湯が並んでいます。人気のサウナももちろんついており、しかも、嬉しいことに、サウナ料金は入浴料に含まれています。

お風呂上がりも楽しめる! 古民家銭湯 〜源湯(京都府京都市)〜
次に紹介するのは、2019年7月にリニューアルオープンした「源湯」。北野天満宮のすぐ近くに位置しています。お風呂は浅風呂、深風呂、電気風呂、薬湯、水風呂と揃っています。

見所はお風呂だけではありません。1階には、寝転んで休憩できるたたみ20畳分のスペース(通称・くつろぎスペース)があり、近隣の飲食店のケータリングイベントやライブイベントなども行っています。
2階には定期的にイラストなどの展示をしているギャラリースペース「氵(さんずい)」、夜だけ営業するフリーマーケット店「あきよし堂」など、個性豊かなテナントが入っています。

戦前築の威風堂々とした構えが圧巻 〜容輝湯(滋賀県大津市)〜
「源湯」と時期を同じくして、滋賀県大津市の「容輝湯」も廃業になると聞き、どちらも残したいとの思いから同時に再建に着手したのだとか。「容輝湯」は大津市の石山寺などがある石山エリアに位置する、地元民に愛された銭湯です。

威風堂々とした唐破風屋根が印象的な玄関。約60年前までは、木の薄板を何枚も重ねて施工する柿葺(こけらぶき)屋根だったそうです。1932年創業と、戦前から様々な歴史をくぐり抜けてきた「容輝湯」。現在では年配の方や、体の不自由な方に配慮して手すりを設けたバリアフリーな設備を新設。施設内は、スタッフが買い集めた地方名物を販売したり、遊び心も交えた居心地のよい空間になっています。浴室内は白を基調としたタイルに保津峡下りの絵が描かれています。

泊まるなら、内装でも〝和〟を感じられるホテルへ
上記3件の銭湯を訪れたあとには、京の都の中心に宿泊を。「Tabist 京蔵 京都二条」は、JR二条駅から徒歩2分と、駅近で好立地なホテルです。客室は全19室で、ホテル内は全室無料Wi-Fiを完備。部屋タイプはスーペリアトリプルルーム、トリプルルーム、ツインルームの3つから選べます。

京都と滋賀に続いて大阪へも進出 〜「みやの湯」(大阪府門真市)〜
「ゆとなみ社」は、大阪でも銭湯を復活させます。2020年11月末に閉店した「みやの湯」が、2021年4月に再オープンしました。外観からも楽しい雰囲気が伝わる「みやの湯」、メインのお風呂は円形で真ん中から泡が溢れるジャクジー仕様。ほかにも浅風呂、ジェットバス、電気風呂に露天風呂など、バラエティ豊富。高温のサウナとキンキンに冷えた水風呂はサウナーも認める本格仕様です。

また入浴中も入浴後も嬉しいサービスが満載で、露天では八朔(はっさく)湯や高級深蒸し緑茶湯など、一風変わったお風呂が定期的に楽しめます。入浴後のドリンクの種類が豊富なのも、みやの湯の特徴で、様々な種類のクラフトコーラなどが置いてあります。

泊まるなら、駅至近で繁華街も近い大阪の中心地へ
体をほぐしたあとはのんびり電車に揺られて約30分、「Tabist ユニホテル御堂筋本町」へ。最寄り駅の本町駅からは徒歩2分、心斎橋や道頓堀などミナミの繁華街へも、地下鉄でひと駅です。白を基調とした客室は全14室。シングルルーム、ツインルーム、ダブルルームから選べます。

最新の復活銭湯ではDJナイトも 〜人蔘湯(愛知県豊橋市)〜
ゆとなみ社の活動域は、近畿以外のエリアへも広がっています。人蔘湯★にん/じん/ゆ★があるのは、愛知県西部の豊橋。2020年に廃業となりましたが、すぐに「ゆとなみ社」の協力でクラウドファンディングを始め、資金を集めました。そして、たった1年という驚異のスピードで2021年5月に見事復活したのです。

人蔘湯には、ジェットバスに深風呂、電気風呂、薬湯のほかスチームがあり、リニューアルに合わせて男湯にはドライサウナ、女湯にはととのいスペースを新設。若いお客さんも親しめる銭湯になりました。毎週金曜にはレコード屋「LiE RECORDS」を営むスタッフによるDJナイトで、お風呂だけでなく音楽にも癒されます。
泊まるなら、静岡県からアクセスできるホテルへ
人蔘湯に入浴後は、静岡県西端の浜名湖西岸にあり、豊橋からの移動も楽な立地の「Tabist 湖西 浜名湖の宿」へ。浜名湖の湖畔に立つ、全室和室で8室のみのこぢんまりとしたホテルです。全室禁煙のため、非喫煙者の方におすすめです。お部屋は全室1〜2名用。お一人様でも気楽に泊まれます。

今回は、京都を中心に活動する「ゆとなみ社」がよみがえらせた銭湯を5つ紹介しました。
お風呂に入ってさっぱりするだけで、建物や文化の保存、継続に貢献できるなんて、まさに一石二鳥ですよね。








