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『すずめの戸締まり』のあらすじ
『すずめの戸締まり』は新海誠監督の8作目となるアニメーション映画で、2022年に公開されました。
17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、九州の静かな町で暮らしていました。ある日、扉を探しているという旅の青年・草太(そうた)に出会います。彼の後を追って山中の廃墟に迷い込んだ鈴芽が見つけたのは、古ぼけた扉でした。なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばします。
扉の向こう側からは災いが訪れてしまうため、草太は「扉」を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けていることを知ります。そこへ突然謎の猫・ダイジンが現れて、草太の姿を椅子に変えてしまいます。その椅子は、すずめが幼い頃に使っていた脚が1本欠けた小さな椅子にそっくりです。逃げるダイジンを捕まえようと、3本脚の椅子の姿で走り出した草太を、すずめは慌てて追いかけます。
やがて、日本各地で次々に開き始める「扉」。不思議な扉と小さな猫に導かれて、九州、四国、関西、そして東京、東北と、日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”が始まります。旅先での出会いに助けられながら、辿りついたその場所ですずめを待っていたのは──。
日本国内での興行収入が140億円を超えたほか、海外興収280億円を超えたことは記憶に新しいです。また、アニー賞7部門の候補に選出されたことや、第46回日本アカデミー賞で草太役を務めた松村北斗さんが話題賞俳優部門を受賞したことなどでも話題になりました。
【すずめの住んでいる町】九州地方にある『すずめの戸締まり』の聖地
ここからは、すずめが住んでいる町、九州地方にある『すずめの戸締まり』の聖地をご紹介していきます。
宮崎県「油津港」

まずは宮崎県にある「油津港(あぶらつこう)」です。扉を探している草太と、すずめが出会った通学路の橋は、油津港がモデルではないかとされています。
油津港は、江戸時代から飫肥杉(おびすぎ/杉の一種。軽く、造船用に重宝された)の積出港として栄えてきました。現在でも、海上物流・観光における県南地域の海の玄関口としての役割を担っています。また、大型客船が寄港することでも知られています。
夏には油津港まつりが開かれ、飫肥杉で組んだ筏(いかだ)が堀川運河を行く弁甲筏(べんこういかだ)流しや、魚のつかみ取り大会などイベントが目白押しです。中でも夜に行われる花火大会では、3000発の花火が油津港の上空・水面を彩ります。
熊本県「湯の鶴温泉」

続いては熊本県にある「湯の鶴温泉(ゆのつるおんせん)」です。『すずめの戸締まり』に登場する温泉街は複数の温泉街がモデルになっているとされており、そのうちのひとつが湯の鶴温泉だと言われています。
湯の鶴温泉は、水俣市街地から9kmほど南東の山間部に位置する、湯出川沿いに温泉旅館と公衆浴場が立ち並ぶ温泉地です。700年前、平家の落人が、傷ついた鶴が湯浴みをしている姿を見て湯の存在を知り、「湯の鶴温泉」と名付けられたとされています。
41~59℃の肌がつるつるするなめらかな温泉が湧出し、湯治客の利用が多いのも特徴です。日帰りで利用できる施設もあるので、聖地めぐりがてら、身体を休めるのもおすすめです。
大分県「杖立温泉」

大分県にある「杖立温泉(つえたておんせん)」もまた、温泉街のモデルのひとつではないかと言われています。
杖立温泉は約1800年前、応神天皇の産湯として使われたのが始まりと言われています。
「湯に入りて 病なおれば すがりてし 杖立ておいて 帰る諸人」は、杖立温泉に伝わる弘法大師の句です。温泉の効能にいたく感銘して詠んだと言われています。また、弘法大師が持っていた竹の杖を立ててみたところ節々から枝や葉が生えてきたことから、「杖立」という地名がついたとされるなど、弘法大師とゆかりのある土地でもあります。
大分県「旧豊後森機関庫」

すずめが災いをもたらす扉(後ろ戸)を開けてしまった場所のモデルとなった場所が「
旧豊後森機関庫(きゅうぶんごもりきかんこ)」です。映画のキービジュアルとしても使われています。
旧豊後森機関庫は、大分県玖珠郡玖珠町岩室にあります。かつて鉄道の街として栄えた玖珠町は、大分・鳥栖間の交通の要でもありました。旧豊後森機関庫は、1934年に全通した久大線の、石炭や水等の補給基地として、また峠越えを行うための機関車の交換等で非常に重要な役割を果たしました。最盛期は1948頃で、車両25両・乗務員他職員217名の配置があったと言われています。しかし、1970年の鉄道ディーゼル化により、機関庫は廃止され現在に至ります。
現存する扇型機関庫としては、九州で唯一の施設で、SLが間近で見られます。
また、すぐ近くには工業デザイナー・イラストレーターとして知られている水戸岡鋭治氏デザインのミュージアムもあります。
大分県「湯平温泉」
「湯平温泉(ゆのひらおんせん)」もまた、温泉街のモデルとされる温泉地のひとつです。
およそ800年前に開かれ、現在のような温泉街が出来上がったのが江戸後期です。湯平温泉の中央を流れる花合野川に沿って作られた坂道の石畳は、江戸時代に作られました。
薬などがまだあまり流通していない時代、湯平温泉は湯治文化が大衆化するにつれて湯治の名地として発展していきました。1930年には湯平温泉を訪れ宿泊した俳人・種田山頭火が「しぐるるや 人のなさけに 涙ぐむ」などの名句を残しています。
【すずめの冒険の始まり】四国地方・近畿地方にある『すずめの戸締まり』の聖地
続いて、四国・近畿地方にある『すずめの戸締まり』の聖地を見ていきましょう。
愛媛県「八幡浜港」
すずめが飛び乗ったフェリーが到着するのが「八幡浜港(やわたはまこう)」です。
古いフェリーターミナルを前にすずめが仁王立ちしているシーンが印象的ですが、このターミナルは老朽化に伴う建て直しのため、現在は見ることができません。
令和4年4月1日に八幡浜港フェリーターミナルが出島に移転して新しくなり、古いフェリーターミナルは解体されたので、現在、作中と同じ景色を見ることはできません。
愛媛県「伊予大州駅」
JR「伊予大州駅(いよおおずえき)」は、予讃線(よさんせん)と内子線(うちこせん)の乗換駅です。作中では、駅員の帽子をかぶったダイジンが目撃された駅として出てきます。
伊予大州駅のある大州市の中心には肱川(ひじかわ)が流れており、肘のように湾曲した川がまちを巡っていることで、自然にも歴史文化にも多くの恵みをもたらしました。江戸時代に大洲城の城下町として栄えたその名残が、今も息づいています。
愛媛県「下灘駅」

JR「下灘駅(しもなだえき)」でもダイジンが目撃されています。
「下灘駅」は予讃線の駅で、数々の映画やドラマのロケにも使われており、今では「日本一有名な海の見える駅」と言われています。現在は国道378号の整備により道路で隔てられましたが、かつては「日本で一番海に近い駅」として知られていた下灘駅は、過去に青春18きっぷの広告に使われたこともあります。
駅自体は小さく、電車の本数も少ない無人駅ですが、その眺望の良さから多くの観光客が訪れています。
兵庫県「明石海峡大橋」

ダイジンが「明石海峡大橋(あかしかいきょうおおはし)」を登ってニュースに取り上げられて、ニュースを目撃したすずめが明石海峡大橋を目指すというシーンがあります。
明石海峡大橋は、兵庫県神戸市と淡路島の間の明石海峡に架かる、橋長3,911m、中央支間長1,991mの世界最大級のつり橋です。1988年に着工し、1998年に完成しました。完成以来、本州と淡路島を繋ぐ交通の要として多くの人や物を運んできました。
海面上約300mの主塔で360度パノラマ体験ができる「明石海峡大橋ブリッジワールド」のほか、舞子公園で絶景パノラマを堪能したり、舞子海上プロムナードを体験したりと、明石海峡大橋だけでも大いに楽しむことができ、観光スポットとしてもおすすめです。
兵庫県「神戸おとぎの国」

ダイジンを追って辿り着いた「廃遊園地」のモデルは、「神戸おとぎの国(こうべおとぎのくに)」(「道の駅 神戸フルーツ・フラワーパーク大沢」内)だとされています。
「神戸おとぎの国」がある「道の駅神戸フルーツ・フラワーパーク大沢」は、神戸市北区大沢町にあります。
神戸おとぎの国は入園料無料で、乗り物代が200円〜400円という非常に利用しやすい料金システムです。モデルではないかと噂されている観覧車やジェットコースターにだけに乗る、ということも気軽にできます。
「道の駅神戸フルーツ・フラワーパーク大沢」も、土産物を買ったり食事をしたりするだけでなく、フルーツ狩りを楽しむこともできます。
兵庫県「東山商店街」「二宮商店街」
東山商店街(ひがしやましょうてんがい)・二宮商店街(にのみやしょうてんがい)は、劇中で登場した「九宮筋商店街」のモデルです。
東山商店街は神戸市兵庫区湊川に位置しており、神戸市営地下鉄湊川公園駅と神戸電鉄湊川駅が最寄り駅です。昔から「神戸の台所」と親しまれてきた商店街で、たくさんの買い物客で賑わっています。
二宮商店街は、神戸市中央区琴緒町に位置しており、神戸市JR三ノ宮駅、阪急・阪神神戸三宮駅、神戸市営地下鉄三宮駅が最寄り駅です。こちらもまた、地元に密着した商店街です。
【物語の終盤】関東地方・東北地方にある『すずめの戸締まり』の聖地
最後に、関東地方・東北地方にある『すずめの戸締まり』の聖地をご紹介します。
東京都「御茶ノ水駅周辺」

東京都の「御茶ノ水駅周辺」は、草太のアパートがある場所です。
まずは、駅のホームから見る聖橋です。ここは、東京編のメインビジュアルに使われているところでもあります。
続いてお茶の水橋口から出ると、すずめの叔母である環(たまき)と草太の友人・芹澤との一悶着が道ゆく人々をざわつかせたシーンの場所が見えてきます。そこから駅の外周を回ると、聖橋に出ることができます。聖橋から見えるのは、東京の「後ろ戸」へと続くトンネルです。
このように、御茶ノ水駅周辺だけでも多くの聖地があります。
宮城県「道の駅 大谷海岸」

芹澤と環と一緒に宮城へ向かうすずめが旅の途中で立ち寄ったレストランがあるのが、宮城県の「道の駅 大谷海岸(おおやかいがん)」です。
以前は海水浴場のすぐそばに位置し、JR気仙沼線の大谷海岸駅が併設されており、「海水浴場に日本一近い駅」としても利用されていました。2011年の東日本大震災で壊滅的な被害を受けましたが、砂浜の後に建てられた防潮堤の背後のかさ上げした土地で再スタートを切り、震災から10年目となる2021年3月にリニューアルオープンし、現在に至ります。
岩手県「織笠駅」

三陸鉄道の「織笠駅(おりかさえき)」は、映画のラストシーンで登場します。
三陸鉄道もまた東日本大震災で壊滅的な被害に遭いましたが、2014年に復旧、2019年には旧JR山田線を移管して、新たなスタートを切りました。
聖地巡礼であなたもすずめに!?
ここまで、『すずめの戸締まり』の聖地をご紹介しました。
『すずめの戸締まり』公式ホームページには、製作委員会の名で「映画『すずめの戸締まり』ご鑑賞後、本編中に登場する、または関連のある場所への訪問をされる皆様におかれましては、近隣住人の方々へのご配慮、及び節度のある行動、マナーに十分心掛けながらお過ごし頂きます様、お願い申し上げます。」というコメントが寄せられています。
聖地巡礼は、ルール・マナーを守り、節度ある態度で楽しみましょう。
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