
九州の南東部に、縦に延びる宮崎県。東側は日向灘に面して約400kmの海岸線、西側には九州山地が広がる自然に恵まれた県です。年間の平均気温は17.5℃と暖かく、亜熱帯性の植物や色鮮やかな花が咲く南国風景が魅力。また神話が伝わる聖地や霊験あらたかな神社などが多いことでも知られています。
今回、訪れるのは人気の高千穂峡をはじめスピリチュアルなスポットが集まる宮崎県北部。パワースポットをめぐるドライブに出発!
国見ヶ丘
宮崎県のパワースポットめぐり、まずは北部の高千穂町にある国見ヶ丘を目指します。標高513mの展望所からは周囲の山々や町の風景を一望。東側には緑豊かな高千穂盆地が広がり、棚田が連なる光景に心が安らぎます。

西側に目を向けると阿蘇外輪山や、阿蘇涅槃像とも呼ばれる五岳など雄大な風景が。また北や南にも美しい山々が連なっています。
国見ヶ丘という名称は、神武天皇の孫にあたる建磐龍命(タテイワタツノミコト)が、九州統治の際に立ち寄って国見をしたという伝説からきているとか。

この丘は雲海が見られることでも知られています。眼下に真っ白な霧が広がる幻想的な光景を見るなら、秋から初冬にかけてが狙い目。天気がよく風がない冷え込んだ朝に霧が発生しやすいそうです。

宮崎空港からは車で約2時間かかるので、雲海狙いなら早起きして出かけましょう!
高千穂峡
高千穂の雄大な自然を眺めた後は、九州を代表するパワースポット高千穂峡に向かいます。国見ヶ丘からも見えますが、車なら約10分で到着。五ヶ瀬川に沿って高さ50~100mの断崖が7kmにわたって続いています。これは阿蘇山の噴火による火砕流が急激に冷えて固まり、それが浸食されてできたもの。

手漕ぎボートを借りて間近に断崖を眺めることもできます。柱状節理の断崖を見上げると、そそり立つ絶壁に緑が茂り神々しい。
約17mの高さから流れ落ちる「真名井の滝」も必見です。周囲に水しぶきが舞い清らかな気分に。日本の滝百選にも指定された高千穂峡のシンボルは、天孫降臨の際に天村雲命(アメノムラクモノミコト)が水種を移した「天真名井」が水源と伝わっています。

峡谷沿いには約1kmの遊歩道が整備されています。美しい峡谷が見られる展望所のほか、神話や伝説にまつわるスポットも点在。また石造りの「神橋」、鉄鋼製の「高千穂大橋」、コンクリート製の「神都高千穂大橋」という高千穂三橋を一度に見られるスポットも人気です。

高千穂神社
高千穂峡から車で5分ほど走ると約1900年前に創建された高千穂神社があります。高千穂郷八十八社の総社で、農業や厄払い、縁結びの神様が祀られています。
1778年に再建された本殿は、正面に5つの柱間を備えた五間社流造りの堂々としたたたずまい。所蔵品の鉄造狛犬一対とともに、国の重要文化財になっています。

境内には樹齢約800年の御神木「秩父杉」や2本の杉の根元がつながった「夫婦杉」が立っています。大切な人と手をつないで夫婦杉の周りを3回まわると、縁結び、家内安全、子孫繁栄の願いがかなうとか!夫婦や恋人はもちろん、友達との縁にもご利益がありますよ。

神楽殿では毎晩20時より観光客向けに高千穂神楽を公開。三十三番ある神楽のなかから代表的な4番を見せてくれます。時間が許すなら、国の重要無形民俗文化財に指定された夜神楽の世界にふれてみてはいかがでしょう。

荒立神社
高千穂神社から車で4~5分の荒立神社は、芸能と縁結びにご利益がある神社です。天孫降臨の際に瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)の道案内をした猿田彦神(サルタヒコノカミ)と天鈿女命(アメノウズメノミコト)が結婚して、この地に住んだと伝わっています。切り出した荒木で急いで造ったため、荒立宮と呼ばれるようになったそう。

境内にはいくつかの板木が設置されていて、心をこめて7回打つと願いがかなうと言われています。散策をしながら板木を探してみましょう。

天岩戸神社
次は車で15分ほど走り天岩田神社にお参りします。『古事記』や『日本書紀』に記された天岩戸神話を伝える神社で、天照大神が隠れた天岩戸を御神体として祀っています。
社殿は岩戸川を挟んで東本宮と西本宮の2ヶ所にあり、東本宮には天照大神が祀られています。

御神体である天岩戸の洞窟は、西本宮から渓谷を挟んだ対岸の壁の中腹にあります。西本宮拝殿の裏に天岩戸が見られる遥拝所があり、1日に15回、神職の案内で参拝することができます。

天安河原
天岩戸神社に参拝した後は、西本宮から岩戸川に沿って15分ほど歩いて天安河原へ向かいます。緑が爽やかな遊歩道は、石造りの太鼓橋が架かり雰囲気のよい散策ルート。

天安河原は天照大神が天岩戸に隠れた際に、八百万の神が集まって神議をしたと伝わる霊場。仰慕ヶ窟(ギョウボガイワヤ)とも呼ばれ、間口40m、奥行き30mの大きな洞窟に社が安置されています。

周辺には参拝者が積んだ無数の石で埋め尽くされており、厳かな空気に満ちています。

高千穂エリアのパワースポットめぐりは天安河原で終了。神話や伝説が残る高千穂には、かつて500近くの神社があったといわれています。紹介したものだけでなく、今でもたくさんの神社が残り、神々が住まう場所であることを実感させてくれます。
日向岬 馬ヶ瀬
高千穂からは宿泊する宮崎駅周辺まで車で約2時間。せっかくなので風光明媚な東海岸の日向方面へ。車で1時間15分ほど走ると目の前に紺碧の日向灘が広がります。
海に突き出した日向岬は、約5kmにわたって続くリアス式海岸。かつて噴出した溶岩が冷えてできた柱状節理は見ごたえがあります。なかでも馬ヶ瀬と呼ばれる亀裂は、高さ50m、幅10m、奥行きは200mもあり迫力満点!

遊歩道を10分ほど進むと先端まで行けます。海と空が溶け合う青の世界…水平線まで遮るものがない絶景に感激です。

宿泊するなら便利な宮崎駅周辺がおすすめ
日向岬からは1時間ほどのドライブで宮崎駅周辺まで戻ります。高千穂エリアの観光だけなら北部に宿泊するのもありですが、宮崎駅周辺のホテルを拠点にすると、スケジュールに南部の日南エリアを組みわせることもできます。また駅周辺は食も充実しており、地鶏の炭火焼や宮崎牛のステーキ、チキン南蛮などご当地グルメを楽しむのに最適です。










