日本百名山の木曽駒ヶ岳や荒々しい岩峰の宝剣岳など、標高3000m級の雄大な山々を有する中央アルプス。その入口のひとつ、千畳敷カールは、手軽にアクセスできる人気のアウトドア・スポット。整備された遊歩道が設置され、登山用の服装でなくても、壮麗な景観を楽しめます。

バスとロープウェイを乗り継いで、雲上の楽園へ
千畳敷へは、長野県駒ヶ根市の菅の台バスセンターより、路線バスと駒ヶ岳ロープウェイを利用して向かいます。菅の台から先はマイカー規制がしかれているので、車の場合は菅の台の駐車場を利用します。まずはバスに乗り、しらび平駅へ。ここからすでにワクワクの旅が始まります。
九十九折れの山道をバスの上下線が道幅ギリギリですれ違い、場所によっては一時待機し、反対側のバスをやり過ごします。約30分後、しらび平でロープウェイに乗り換えれば、間もなく千畳敷駅に到着します。駒ヶ岳ロープウェイは、高低差950m。日本最高の高度差を堪能できます。

大岩峰をバックに草紅葉を愛で、雲海を見下ろす
約7分30秒のロープウェイでの空中散歩を経て、日本一高い場所にある駅、標高2612mの千畳敷駅へ。駅舎から一歩外に飛び出すと、夏場でさえひんやりとした空気に包まれます。目の前にはまばゆいばかりの草紅葉。ナナカマドやダケカンバなど、美しい黄色と紅の世界が広がっています。さらに奥を見上げれば、鋭い鋼のような標高2931mの宝剣岳。壮大な景観に圧倒されます。

そびえ立つ大岩峰に、色鮮やかな草紅葉。氷河期の氷によって削り取られたお椀型の圏谷(けんこく)と呼ばれる地形の千畳敷カールの秋は、文字通り雲上の楽園です。遊歩道を歩き始め、いま登ってきたロープウェイの方向に目を向けると、遠くには南アルプスの山々が見えます。運がよければ、雲海が広がる神々しい景観にも出会えます。

駅舎から右手に向ってしばらく歩くと剣ヶ池、さらにその先へ進むと清らかな渓流に辿り着きます。さらに岩峰へ向かえば、九十九折れの八丁坂の入口へ。ここを登ると、宝剣岳や木曾駒ヶ岳へと進めますが、この先は登山の世界。登る場合は、登山用の服装と装備が必要です。紅葉の見頃は、例年9月下旬から10月上旬にかけて。遊歩道はぐるりと一周でき、のんびり歩いても1時間程度。歩きやすい服装と靴で、ここにしかない絶景を存分に味わってみてください。

地上の世界に戻っても、お楽しみは盛りだくさん
千畳敷カールで雲上の楽園散歩を堪能したら、ロープウェイとバスで再び下界へ。菅の台バスセンター周辺には、さまざまな食を楽しめる名店が点在しています。とくにオススメは、駒ヶ根名物「ソースかつ丼」。シャキシャキのキャベツの上に大きなかつがド~ン! その上に各店舗の特製ソースがたっぷりと注がれます。
写真は地元で人気の「明治亭」の「ロース ソースかつ丼」。「明治亭」は長野県内に5店舗あり、菅の台バスセンター付近なら中央アルプス登山口店か登山口店がおすすめです。地元駒ヶ根産にこだわったオリジナルソースは、食後のサッパリ感が特徴です。小食の人でもペロリかも!?
(写真:明治亭駒ヶ根本店)
また、一杯いただきながら食事を、という場合は、駒ケ岳ロープウェイバス駐車場の東に位置する、「駒ヶ根ファームス」2階の「南信州ビール直営レストラン味わい工房」へ。中央アルプスの雪解け水をたっぷりと含んだ良質な地下水で醸造された、南信州ビールの新たなブランド「ogna(オグナ)」各種や、地元食材を使ったオリジナル創作料理の数々を味わえます。シカ、チョリソー、絹挽き、スモーク、ガーリックといった5種類のソーセージ盛り合わせや、自社ビールをふんだんに使用した、牛肉のやわらかビール煮など、オリジナル料理のメニューも見逃せません。そのほか、信州ワインや地酒も楽しめます。
良質な湯と景観に癒される「早太郎温泉 こまくさの湯」
地元の食を満喫したら、温泉で汗を流すのもオススメです。菅の台バスセンターから徒歩約5分ほどの「早太郎温泉 こまくさの湯」は、中央アルプスの大自然に抱かれた日帰り入浴施設。アルプスと空の境界線を望む清々しい景観を楽しめる露天風呂に浸かれば、心身ともに癒されます。
泉質は、アルカリ性単純泉。疲労回復効果が高く、美肌の湯としても評判の温泉です。施設内には、内湯大浴場をはじめ、薬湯やジェット風呂、冷水、サウナもあるので、温泉三昧のひと時をたっぷりと満喫できます。
(写真:信州駒ヶ根高原 早太郎温泉 こまくさの湯)








